2018年12月22日土曜日

ぼくは明日、昨日のきみとデートする 七月隆文:タイトルに隠された真実・感想・書評ネタバレ注意(レビュー)。 #読書

書店で見かけて、タイトルの不思議さと帯に書かれていた『彼女の秘密を知った時、きっと最初から読み返したくなる』というキャッチフレーズに惹かれ、購入。
京都を舞台にした大学生のよくあるラブストーリー…かと思いきや、ストーリーを読み進めていくとそんな単純な話ではないことがどんどんと明らかになっていく。
なぜ彼女は未来に起こることを知っていたのか、そしてなぜ初めて会った時に彼女が泣いていたのか。全ての謎が明らかになった時、涙が止まらなくなった。
主人公の高寿(たかとし)と彼女の愛美(えみ)は一見何も変哲のないカップルなのだけれど、実は二人の住む時間軸は正反対だったという事実。
高寿が過ごした昨日は、愛美にとっては明日の出来事になる。だから高寿の目線から見ると初めてのことが、時間が逆に進んでいる愛美の住むパラレルワールドでは最後だということ。つまり初めて高寿に会った時は、愛美にとっては別れの時であったのだと知った時は鳥肌が止まらなかった。
序盤は初々しいシーンや仲睦まじいシーンが描かれていたので、この事実が明かされた時に愛美は一体どういう気持ちでその時間を過ごしていたのだろうかと帯に書かれていたキャッチフレーズの通り、もう一度愛美目線で読み返してみたいと強く思った。
目線を変えて再度読んでみるとまたストーリーの受け取り方も違って見えてくる深いストーリーで、ラブストーリーものは数あれどこれはその中でも群を抜いた名作であると感じた。

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